「移香にご注意」シールに込めた想い

化学物質過敏症さんむけのカナリアハウスの製品は、すべてビニールで二重にしていて、印刷物もビニールにいれて直接インクのにおいがしないようにしています。

外袋には『移香にご注意下さい』と注意書きを貼ります。

きっかけは、私が化学物質過敏症だと伝えていたあるお店で注文したものが届いた時に、こうしたシールが貼られていて感動したからです。

貼ってあるからといって外箱ににおいがついていないわけではありませんでしたが、少なくともこのお店はこの症状を知っている、という安心感と嬉しさがありました。

スタッフが貼ってくれています

シールを貼っていると荷物を分けてもらえるわけではありませんが、荷物につく香りで辛い症状が出る方がいることを手にした方が知ってくれたらと、私たちの小さな願いも込めて貼っています。

私は、人が行動を変えるまでには、段階があると思っています。
いきなり「洗剤を変えてください」と言って「わかりました」という方は少ないと思います。

人に言われて半ば強制的に変えても、続かないことが多いです。

少しずつ情報が入って、その人の中で納得する時が来て、ではこうしようと思うタイミングがくると変えてもらえる。


「そういえば荷物に貼ってあった」「こんな投稿を見た」「誰かの子供さんも過敏症って言ってた」「新聞でも書かれていた」といった細かい情報がその人の中で積み重なる。

そんな時知り合いから「過敏症で苦しんでいる」と言われると「聞いたことがある。あなたもそうなの?」となる。そこで、行動を変えてもらうことは、いきなり訴えるより変えてもらいやすい、そう感じています。

私が発症した頃は化学物質過敏症という言葉も知られておらず、まずそこからの説明でした。

その説明で「大変ねえ」となり、まだその先の、洗剤を変えて欲しい、というところまで辿り着かない感じでした。

試行錯誤する中で、時間がかかっても、一番効果があるのは草の根の運動だ、と思いました。

少しずつ知ってもらう。いきなり行動をお願いするのではなく、まず知ってもらう。そして、私の気持ちを正直に話す。そこで共感してもらえると、動いてもらえることが多いです。

宅配会社さんに香害についてお願いしたり、公的なところへお願いするのも大事な動きです。「化学物質過敏症」への認識が広まったのは、たくさんの方が声をあげてくれたからだと思います。

でも、こんなに訴えているのに洗剤を変えてくれない、という声も聞きます。

私はある方から「興味のある人の隣の人に動いてもらうのが大事だよ」と言われたことがあります。

興味のある人には行動を起こしてもらいやすい。
物事を広めるためには、その隣の人が動いてくれるにはどうしたら良いか考えるのが大事だと。

それは、個人対個人で話すことが重要だと思っています。
どこかの誰かが言うことよりも、自分の隣の人が言うことの方がリアルです。

そして、大きなことをするのは自分も続きません。
体調からできることも限られる。

なので持続してできること、小さなことを積み重ねる。

「移香にご注意ください」のシールには、私のそんな意図もあります。

そして、小さな積み重ねこそが、最終的には大きな力になると思っています。

『大丈夫、きっとよくなる。化学物質過敏症の私がつくった製品wacca(ワッカ )』

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カナリアハウス主宰|シルクスクリーン製版の(株)横山工藝 取締役。学芸員(美大卒)。2009年に化学物質過敏症を発症し、2013年に診断。12年~14年、21年が最も状態が悪く、今は寛解(かんかい)に向けて前進中。アトピー性皮膚炎歴30年。 過敏症の方が使える衣類を開発・製造して「ワッカ」http://store.wacca-f.com で販売|衣食住に関する情報発信は「カナリアハウス」https://canariahouse.com |著書に「化学物質に過敏なあなたへ」https://amzn.to/3UdVC2T|YouTubeチャンネル「カナリアハウス」 https://www.youtube.com/@canariahouse

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