化学物質過敏症とは 〜医師の眼からみた実情〜

化学物質過敏症は、医師の間でもまだまだ認知や理解が少ないのが現状です。
私自身、発症から病名の確定までに長い時間を費やしました。

そんな中、日頃、地元福井で私を診てくださっている吉田医院の院長 吉田浩士先生が、化学物質過敏症について書かれていらっしゃいました。

大事なのは、化学物質過敏症(CS)は誰でも発症しうるということです。

医師の眼から見た化学物質過敏症の実情が分かりやすくまとめられています。
正しく理解していただくにはとても参考になると思い、ご本人に許可を得て、以下、転載させていただきました。

長文ですが、ぜひお読みください。

※下記文章の転載、配布等はご遠慮ください

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私の医院は在宅支援診療所としての役割も持っており、通常の外来診療に加え患者さん宅への訪問診療を行っています。いろいろな疾患がありますが、最近は化学物質過敏症のかたのお宅に伺うことが増えてきました。

化学物質過敏症(以下CS)は、多種の化学物質に反応して、頭痛、激しい倦怠感、胃腸症状、呼吸器症状、排尿症状、鼻出血等の粘膜出血など、患者さんによって異なる多様な症状をきたす疾患で、2009年には保険病名としても認められています。

原因となる化学物質は多種にわたり、身近なところでも、洗剤、柔軟剤、芳香剤、消臭剤、虫除け関係のもの、新しい建材からの揮発物、排気ガス等々、挙げ出したらきりがありません。

残念ながら、現時点ではCS診断のために汎用性をもった検査がありません。
多くの患者さんは、大病院で様々な疾患に関する多数の検査を受けて、異常なしと診断されているのが特徴です。
CS診断のためには問診が重要。粘り強く詳細に患者さんと話をすることがとても大切です。

患者さんによって反応物質や症状が異なるため、「気のせい」病と捉えられてしまうことも多いのが実情です。
実際に診療してみると「気のせい」じゃないかと思うようなかたがいらっしゃるのは事実ですが、明らかに原因と症状との因果関係が一致する症例が多く、年々増えてきている感があります。

軽症のかたは通院ができますが、重症なかたは、道路の排気ガスにも反応する、車にも乗ることができない、医院の他の患者さんの衣類のにおいに反応する、などの理由で家から出られないかたがいらっしゃいます。

そういうかたへの訪問診療は、他疾患の訪問診療とは違ったかたちになります。
まず、私の衣類ににおいが付着しないよう、訪問の順番を真っ先にする必要があります。
お宅に入るときは「私のにおい、大丈夫ですか?」と確認してからにします。

診療内容は、問診、家の中、周囲をチェックして原因となる要因がないかを探し、その上で指導を行うといったことになり、1時間以上かかります。

根本的な治療薬はなく、極力 化学物質の曝露をさけることにつきますが、一度発症してしまうと年単位で治していく心づもりが必要になり、体調のみならず、精神的にも経済的にも患者さんやご家族を大きく苦しめることになります。


大事なのは、CSは誰にでも発症しうるということです。
ある日突然発症するケースもありますが、実は徴候(はじめに述べた症状)は前々からあるのかもしれません。ただ、その原因が身の回りに溢れている化学物質かも、とはなかなか思えませんよね。

世の中は様々な化学物質のおかげで、便利、清潔、快適になってきました。その恩恵は計り知れませんが、一方でそれに頼り過ぎると思わぬ落とし穴がありうるのです。
身体に安全と謳っているものでも、完全に安全性が保障されているわけではありません。
ご自身の五感、そして適度な第六感をもって、本当にこの化学製品は必要なのか、自分の体に問題が起こらないかを冷静に見極めてほしいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。これが少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
=====================(転載 終わり)

化学物質過敏症は発症してしまうと、想像以上に大変な生活になります。
そうなる前に『自分の体は自分で守る』ため、正しい知識をもっていただくことも大切なことだと思っています。

※この記事に関する問い合わせは、先生ではなく私の方へご連絡ください。

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