化学物質過敏症患者に必須のマスクを、オーガニックコットンでつくる(3)

オーガニックコットンの試作マスクを 化学物質過敏症(以下CS) 患者さんに試してもらいました。

すると、数名の方が、化学物質(香料など)を感じてビニール袋から取り出せなかった、あるいは洗ってから使った、と判明。

化学物質を極力排除した縫製工場は未完成なので、試作マスクは本社屋で縫製しました。

袋詰めは私の自宅でしましたが、実は私もその時に香料を感じ、しばらく試作マスクを干していました。

『それでもダメな方がいたんだな…』

申し訳なかったと思いつつ、CS患者さん用の衣類を普通の環境で縫製するのはやはり無理だと実感しました。

スタッフと原因を考察

化学物質の付着を感じた方がいることをスタッフに伝え、なぜそれがついたのかを考えました。

・社員はみんな柔軟剤や整髪料を使っていないけど、外部の人の出入りはある。

・インクジェットプリントのマシーンが縫製室(本社屋)にある。

・使ったアイロンは、衣装(別の事業)にもアイロンをかけている。
おそらくアイロン台に衣装から移染した化学物質(香料やプリントのインク)があったのでは。

『やっぱりここで作るのは無理だね。次は工場ができてから作ろう。』と私。

さらに、縫製スタッフから

・自分は柔軟剤を使っていないけれど、せっけん洗剤ではなく合成洗剤で洗っているから、自分の服からも移染したのでは

と。

対策を立てて実行

縫製スタッフは

「Tさん、石けん洗剤に変えたんでしょ(※詳細は別記事)、それどこに売ってるの?」

と別の社員さんに聞き

「Vドラッグに売ってるって。それにしますよ。」

自分の服もミヨシの石けん洗剤で洗ってくれるとのこと。
少しでもまとわないように。

涙が出そうでした。

協力的な社員さんたちとはいえ、おうちのことなので、私もそこまでお願いできなかったのです。

「だって袋から出せなかったんでしょ。ここまできたら徹底的にやりますよ。」

心強い言葉でした。

「縫製する前に手も洗いますね。なおこさん(私)が大丈夫なやつ、おいといてください。できたらポンプ式で(笑)。」

はい、早速おきました。

さらに、家から来る途中で化学物質をまとうかもしれないから、作業着を会社で用意し、それに着替えることに。

「縫製工場で着るものは、そこで洗って、部屋で着替えたほうがいいですね。」

ということで、洗濯機を設置。
ちなみにうちの長男が一人暮らししていた時に使っていたもの。
石けん洗剤しか使用しておらず、洗濯機自体のにおいも抜けています。

洗剤も購入。今回はアスクルで業務用サイズを。


そして、着替えるためのカーテンも取り付けました(カーテンの生地も事前チェック済み)。



みんなが一つの目標をやり遂げようとしてくれているのがわかります。

こうした人たちと仕事ができるなら、どんな難題もクリアできる気がします。

『大丈夫、きっとよくなる。化学物質過敏症の私がつくった製品wacca(ワッカ )』

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wacca代表。シルクスクリーン製版、衣装制作の(株)横山工藝 取締役。学芸員(美大卒)。2009年に化学物質過敏症を発症し、13年に診断。12年~14年が最も状態が悪く、今は寛解(かんかい)に向けて前進中。アトピー性皮膚炎歴30年。 過敏症やアトピーの人が安心して使える衣料、安全な染料でおしゃれを楽しめる衣類を開発。

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