福井市の障がい者用防災スカーフ作成にデザイン提供させて頂きました

障がい者用防災スカーフの作成に、デザインで協力しました。

外⾒から分からなくても援助や配慮を必要としている人が、周囲の人にそのことを知らせ、援助を得やすくなるよう作成された「ヘルプマーク」というマークがあります。

外出の際、カバンにつけられるヘルプマークのタグが欲しくて自分が住む福井市の障がい福祉課に問い合わせたのが2年前。当時は配布予定はないとのことでしたが、
昨年、ヘルプマークをつけた「障がい者用防災スカーフ」を作成すると知りました。

「障がい者用防災スカーフ」とは、災害援助に活用するため、外見からは障がいのあることがわかりにくい方が、周囲の方に支援や配慮が必要であることを伝えるためのスカーフです。

課の担当者さんとお話しているうち、当事者として多少事情もわかり、オリジナルデザインで衣装をつくる仕事をしている私に、デザインを考えて欲しい、と依頼されました。

出来上がったスカーフがこちらです。

福井市障がい者用防災スカーフヘルプマークつき

自分の障がいや病気の症状、こうしてもらえると助かる、ということが自分で書き込めます。

災害が起きた時、体育館などに避難しますね。
そこで、例えば耳の聞こえない人はどこで食べ物が配られている、とか、案内の声が聞こえず、ずっとそこにいた、ということもあるらしいのです。そして、見た目からはそのことが判断できない。

私も化学物質過敏症で発作が起きてしまうと、思考力が落ち、ろれつが回らなくなり、周囲に説明することができなくなります。そんな時にこれを見せたら理解してもらえる、そう思えるだけで、一つ安心材料になります。

障がい者防災スカーフ

スカーフを半分に折った内側に、個人情報がかけるようになっています。
これは、医師が薬を出したり処置をする際に必要な情報になります。

デザインを考えていて難しかったのは、防災スカーフということは、災害時に持っていなくては意味がない、ということ。
そのためには携帯しやすい形であること。
また、同時にヘルプマークもつけるため、周囲にそのことがわかる形にすること。

そこで考えたのが…

スカーフはおりたたんで縫い付けられた小さな袋に収納。

防災スカーフ

小さな袋にはヘルプマークをプリント。
この袋には小さなタブがついていて…(タブは障がい課のみなさんのアイデア)

携帯用防災スカーフ

ひもやチェーンを通せば、外出時のカバンにつけられます。

防災スカーフのつけ方
スカーフをつけた時は、ヘルプマークのついた袋はちょうど腕のところに来ていて、周囲にアピールできます。
男性が使っても問題ないように、80cm角の大きめサイズにしました。

スカーフを袋にしまうアイデアを考えた時、弊社の衣装制作スタッフが試作してくれました。

防災スカーフ試作

試作を身につけた時、たまたま腕のあたりに袋がくることを発見し、ここにヘルプマークがあるとなおいいのでは!と最終形につながりました。

また、デザインはボランティアで提供しましたが、スカーフの制作は弊社ではありません。
(入札で決まった業者さんが制作されました)

スカーフの仕様(プリントの手法や生地、縫製)については細かい指示ができませんでした。
あまり細かく決めてしまうと、業者さんの幅が狭められ、できる業者さんがいなくなってしまうことも懸念されるからです。

どんなもので出来上がってくるのか、例えば染料の臭いが強かったら化学物質過敏症の自分は使えるだろうか、と不安も感じていました。
出来上がったものをみて、ああ、その方法でやったんだ(予想外)と。

とてもコストが抑えられていたので、何で作ったのかな、と思っていたら、のぼり(路上によくある縦型の旗)を作る昇華転写というプリント方法と生地でした。

この場合、ポリエステル素材ですが、ポンジというとても薄い生地です。また、熱で顔料を昇華移行させるので、転写するプリント工場は結構臭いがしますが、そこで余分な顔料はかなり飛びます。生地の薄さもあってスカーフ自体からの臭いはずいぶん少なくなっています。

気になる方は、しばらく天日干しすれば、使える方も多いのではないかと思います。
私の場合は、しばらく吊るしておいたら、大丈夫でした。

すいません、このあたりは普段仕事で関わっているので、多少専門的な話になりました。

「障がい者用防災スカーフ」は福井市障がい福祉課の窓口で無料で配布されます。
詳しくはこちら⇩のページをご覧ください。

▼福井市:障がい者用防災スカーフの作成及び配布について【ヘルプマーク導入】
https://www.city.fukui.lg.jp/fukusi/sfukusi/sonota/p016793.html

▼関連記事:【日刊県民福井さんに防災スカーフのデザインについて取り上げていただきました】
https://blog.canaria-project.jp/2019/04/19/fukuiscarf/

▼関連記事:【福井新聞記事:当事者がデザインしたヘルプマーク付きの防災スカーフ】
https://blog.canaria-project.jp/2019/12/15/fukui-newspaper/

『大丈夫、きっとよくなる。化学物質過敏症の私がつくった製品wacca(ワッカ )』

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カナリアハウス主宰|シルクスクリーン製版の(株)横山工藝 取締役。学芸員(美大卒)。2009年に化学物質過敏症を発症し、2013年に診断。12年~14年、21年が最も状態が悪く、今は寛解(かんかい)に向けて前進中。アトピー性皮膚炎歴30年。 過敏症の方が使える衣類を開発・製造して「ワッカ」http://store.wacca-f.com で販売|衣食住に関する情報発信は「カナリアハウス」https://canariahouse.com |著書に「化学物質に過敏なあなたへ」https://amzn.to/3UdVC2T|YouTubeチャンネル「カナリアハウス」 https://www.youtube.com/@canariahouse

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