化学物質過敏症対応のマスク。さらに快適に改良されました。

生地が変わりました

加工工程でも化学物質を極力使わない

これまでのマスク(以下旧マスク)もオーガニックコットンの生地を使っていましたが、市販の生地を使用していました。

改良版(以下新マスク)は、化学物質過敏症患者にとってより安全なものにするべく、私が直接紡績会社さんへオーダーした生地を使っています。

糸を織物にするとき油や糊をつけて織り、その状態の生地を生機(キバタ)といいます。

マスクに使用している生地が織られているところ

その後、生機から余分な糊や汚れを落とし、生地を柔らかくするソーピング と呼ばれる加工をします。
通常ソーピング には、ホルマリンや様々な溶剤が使われます。

化学物質過敏症患者さんが呼吸するマスクの生地には、加工途中の化学物質も極力使いたくなかったので、手間はかかりますが水洗いで糊を落としてもらいました

出来上がったオーガニックコットンのダブルガーゼ

防縮剤などの加工も一切していないため、通常の生地より縮みやすいですが、長く使うことを考慮して、新マスクはサイズごとの寸法から若干大きめに仕上げています。

やわらかな風合いのダブルガーゼを両面に

原料の綿花はもちろんオーガニックコットン。
中でもスーピマコットンと言われる繊維長が長いものを新マスクは使用しており、やわらかくてしなやかな風合いが特徴です。

綿花(オーガニックコットン)

そのコットンで、肌に触れた時に優しく気持ちのいいダブルガーゼにしました。

旧マスクは表生地は平織、裏生地はダブルガーゼだったのを、新マスクは表も裏もダブルガーゼにしました。

色々な生地を試した中で、この組み合わせが周囲の香料などを最も感じにくい(吸い込みにくい)ようでした。

ダブルガーゼは、生地がすでに二重になっています。
マスクの表裏にダブルガーゼを使うと、四重になります。

旧マスクは三重でしたので、一枚増えるとやはり効果があるようです。

また、ガーゼ用の糸は拠(よ)りが緩く、吸湿しやすく、放出しやすい構造です。

生地の組み合わせ試験を行っていたのは梅雨の湿気が高い時でしたが、暑そうに思えるこのダブルガーゼが、熱がこもらず、一番快適でした。

活性炭フィルターが透けにくい

旧マスクを使用されている患者さんから
「内ポケットに活性炭フィルターを入れると、黒く透ける」
という声を頂きました。

黒い活性炭シートを入れてみると、旧マスクは内側に折り返した生地がわかるほど、透けています。

新マスクはガーゼの織りの特徴と、ダブルガーゼですでに二重のため、活性炭シートを入れてもあまり透けません。

患者向けの特別な製品でも、美しいもの、かっこいいものでありたいと思っているので、こうした改良も追求して行きたいです。

形が変わりました

内ポケットが大きくなりました

活性炭シートやガーゼフィルターを出し入れする内側のポケット。

初期のマスクの試作では、左右にタックを取っていませんでした。
その後、見た目のスッキリ感を出そうと、旧マスクでは両脇にタックを取ったところ、両方のマスクを使った患者さんから、フィルターが出し入れしづらくなったとメッセージを頂きました。

そこで、見た目のスッキリデザインは維持しつつ、出し入れしやすいポケットに型紙を改良。

まずポケットの左右の入り口を下に変更。

入り口も広くなり、フィルターが入れやすくなりました。

そして、左右のタックを取りました。

【大きさ比較】上が旧マスク。下が新マスク。
中央の高さは同じ。旧マスクには左右にタックがある(囲み部分)。

ただタックを取っただけではなく、スッキリしたデザインは維持するよう型紙を改良しました。

また、ギャザーを寄せることで自分の顔に合わせてタックの分量が加減でき、旧マスクよりフィット感が増しました

ワイヤーが変わりました

旧マスクの時から、肌とマスクの隙間を減らし顔にフィットさせるため、ワイヤーは必須だと考えました。

ワイヤーが立体を維持するので口元の空間を保ち、息がしやすく長時間つけられます。

また、私自身の希望として、下にもワイヤーが欲しいと思っていました。

顎からずれにくいため周囲の空気が入るのを防ぎ、ワイヤーをちょっと尖らせると小顔効果もあるのです(笑)。

今回も上下に入れてありますが、生地をガーゼに変更したため、細いワイヤーが飛び出る可能性がありました。

そこで、ワイヤーを平らなものに変更しました。

旧マスクに入れていたワイヤー(左)
新マスクに入れているワイヤー(右)

ワイヤーの角で生地が傷つかないよう、念を入れてスタッフが四隅もカットしています。

そして、電磁波過敏症の方もいるので、金属が入っていない、ポリプロピレン製のワイヤーです。

裏の縫製を変えました

活性炭シートを入れて使われた患者さんから、下のお写真を頂きました。

裏返したマスク。
活性炭シートに使われる炭の粒がついている。

活性炭シートには炭が織り込まれたタイプ(上の透け比較で使用したシート)の他、炭の粒が入ったタイプがあります。

こちらは粒が入ったシートで、ポケットを裏返すといくつか粒が落ちてついていたそうです。

洗えば取れるので、つくこと自体は問題がないのですが、左右開きのポケットは裏に返しづらいこと、生地の端が気になることをお聞きしました。

左右開きのポケットは、上記のように下開きに改良したので、裏返ししやすくなりました。

また、切りっぱなしだった生地の端はロックミシンをかけることにしました。

洗濯する際にほつれを気にすることなく、よりしっかりしたマスクになりました。

梱包について患者さんの感想

マスクの製造は、化学物質を極力排除した工場で、スタッフの衣類も石けん洗剤で洗ったものを着用、手洗いをしてから作業をしています。

梱包は、ビニールに入れたマスクをさらに二重に包装
納品書などの印刷物は別のビニールに入れて同梱しています。

届いた方から「外袋の封筒はにおいがついていたのですぐに捨てましたが、中のマスクは大丈夫でした」という声を頂いています。

外袋は配送中に色々においがついてしまいますが、中のマスクに影響がなくてよかったです。

自宅の洗剤も変えて作業に当たってくれたスタッフも、ホッとしていました。

長く使えるマスクを届け続ける

私自身、色々なマスクを使ってきました。
私が半年前まで購入していたマスクはオーガニックコットンの生地で作られた千数百円のものです。

ただ、一枚仕立てでポケットはなく、金属の細いワイヤーが片方に入っていますが、立体ではないプリーツ形でした。

紐は結ぶ形で、何度結び直しても、顔にちょうどいい長さにできず、どうしてもゆるみがありました。

なので、マスクをしていても、ほぼ周囲の空気が入ってきて、していないよりマシ、というくらいでした。

日本のメーカーだと思いますが、縫製は海外のものでした。
すぐにヨレてくるので、まとめて5枚購入していました。
私の場合ですが、1ヶ月に1枚くらい捨てる感じで、マスクに年間2万円ほど使っていたと思います。

そして、新型コロナウィルスの感染が拡大する中で、そのマスクも在庫切れで手に入らなくなりました。
そのことが自分たちでマスクを作るきっかけになりましたが、使えるマスクが手に入らないのは患者としてとても不安でした。

マスクの試作を始めてから半年近くたちましたが、最初のマスクは今も形崩れがなく、取りかえる必要を感じません。

当時より新マスクはさらによくなっていますので、長くお使いいただけると思います。

洗い替えに、出かけた時の予備に、3枚購入したとしても、年間使っていた額とほぼ変わりません。
あ、3枚買わなくていいです(笑)。まずは1枚お試しください。

そして、長く使えるものは、買う機会も減らせます
宅配業者さんとの接触も、できるだけ減らせたらと思います。

私たちも、良い製品を、長く愛用していただけるように、少しでも安心してもらえるように、今後も改良や工夫を続け、手間のかかることを惜しまず、患者さんに届け続けたいと思っています。

今後もお使いいただいた感想やご要望をお聞かせください。
そして、一緒に製品を育てていただけたら、また、みなさんの応援をいただけたら嬉しいです。

▼新マスクはこちらから購入できます
(1週間に20枚しか生産できないため、お一人様3枚まででお願いします)
https://store.wacca-f.com/

▼参考記事『福井新聞に化学物質過敏症とマスクについて掲載していただきました』
https://blog.canaria-project.jp/2020/06/10/fukuishimbun/



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wacca代表。シルクスクリーン製版、衣装制作の(株)横山工藝 取締役 。アトピー性皮膚炎歴30年、2009年に化学物質過敏症を発症し、2013年に診断。2012年~14年が一番状態が悪く、今は寛解(かんかい)に向けて前進中。 「心地いいが基準になる暮らしのために」をコンセプトに、過敏症患者さんも一般の方も安心して使えるものづくりを目指して、スタッフとともに試行錯誤しています。

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